Shopify Payments / Markets / 新機能

同じ国の中で複数の法人を
「1 つの Shopify ストア」で運用できる

これまで別ストアや拡張ストアで対処していた「同国内の複数法人」を、Markets と Shopify Payments の組み合わせで 1 ストアに集約できるようになる。売上・入金・コンプライアンスを正しい法人に紐づけたまま、管理コストを下げられる。

このページの構成
  1. そもそも何が変わるのか(30秒で理解)
  2. 仕組み図解 : 1 ストアで複数法人を束ねる
  3. 何ができるようになるか(公式が挙げる 6 つ)
  4. 従来 vs 新方式の比較
  5. 対象マーチャント・前提条件
  6. 運用イメージ(3 ステップ)
  7. 技術者が押さえるべき 5 つのポイント
  8. 業務に活かせる 3 つのユースケース
  9. 提案で使える 1 行サマリ

1そもそも何が変わるのか

今までは「同じ国の中に別法人がある」マーチャントは、法人ごとにストアを分ける拡張ストアで回避策を組む しかなかった。
今後は、1 つの Shopify ストアの中で Markets を使って複数の Shopify Payments アカウントを設定でき、売上・入金・コンプライアンスを正しい法人に紐づけられる。

従来 : 法人ごとに別ストア

同じ国の中でも、法人が違えばストアを分割。商品データ・在庫・スタッフ・運用が分散し、管理コストと重複作業が増える。

A B C

新方式 : 1 ストア × 複数 Payments

Markets で法人別の区画を作り、各区画にそれぞれの Shopify Payments アカウントを紐づける。1 つの管理画面から全体を運営できる。

2仕組み図解 : 1 ストアで複数法人を束ねる

1 つの Shopify ストア(商品 / 在庫 / スタッフ / 注文管理を共有) Markets による「法人別マーケット」を内部に持つ Market A : Online D2C Shopify Payments アカウント A → 法人 A に売上計上 Market B : Retail / 店舗 Shopify Payments アカウント B → 法人 B に売上計上 Market C : B2B 卸 Shopify Payments アカウント C → 法人 C に売上計上 入金・税務・コンプラ 法人 A 銀行口座 / 法人 A 番号 入金・税務・コンプラ 法人 B 銀行口座 / 法人 B 番号 入金・税務・コンプラ 法人 C 銀行口座 / 法人 C 番号
キモは「Markets」 : Shopify Payments のアカウントを Markets 単位に割り当てることで、同じ国の中でも法人を分けて売上と入金を切り分けられる。商品・在庫・スタッフ・注文管理は 1 ストアで共有されたまま。

3何ができるようになるか(公式が挙げる 6 つ)

Web Shop

オンラインと店舗を別法人で運営

同じ国内で、EC 部門と実店舗部門を別法人として扱う構成。

店舗ごとに異なる法人

複数の小売ロケーションをそれぞれ別法人として登記している場合に対応。

B2B D2C

B2B と D2C を別法人で分離

卸事業と一般消費者向け事業を別法人で運営する組織構造に対応。

売上・入金・コンプラを正しい法人に

sales / payouts / compliance を該当の事業エンティティに紐づけられる。

重複管理作業の削減

複数ストアにまたがる重複したオペレーションを 1 ストアにまとめられる。

flex

組織構造の柔軟性を維持

事業構造を柔軟に保ったまま、運用は 1 つの Shopify ストアにまとめられる。

4従来 vs 新方式の比較

項目従来(別ストア/拡張ストア回避策)新方式(1 ストア × 複数 Shopify Payments)
ストア数 複数 法人ごとに分割 1 つ Markets で内部分割
Shopify Payments 1 ストア = 1 アカウント 1 ストア内に複数アカウント
売上・入金の帰属 ストアごとに分かれる Market(=法人)ごとに分けて帰属
コンプライアンス 法人ごとの管理が必要 該当法人に正しく紐づく
商品・在庫・運用 複数ストアで重複 1 ストアに集約
典型ケース 拡張ストア+手運用 Online/Retail/B2B を法人別に運用

5対象マーチャント・前提条件

複数法人を抱えるマーチャント

事業構造が複雑で、同じ国内で異なる法人が事業を担っているケース("more complex business structures")が対象。

"eligible merchants" のみ

対象となるマーチャントに条件があるとだけ明記されており、具体的な判定基準(プラン・地域・売上規模など)は記載なし

対応国・対象プラン・申請プロセス・GA/EAP の区分・上限アカウント数などはこのリリースノートに記載なし。導入検討時は Shopify の担当 / Plus サポートに自社ストアが対象かを確認すること。

6運用イメージ(3 ステップ)

1

Markets を設計

同じ国内で「どの売り方(Online/Retail/B2B 等)をどの法人に紐づけるか」を Market 単位で整理する。

2

Market ごとに Shopify Payments アカウント

各 Market に対応する Shopify Payments アカウントを設定。法人情報・銀行口座・税務情報をそれぞれ登録する。

3

1 ストアで一元運用

商品・在庫・スタッフ・注文管理は 1 ストアで共有。売上と入金は法人別に自動振り分け。

公式リリースノートには具体的な設定画面の手順までは記載なし。上記はリリースの説明「configure multiple Shopify Payments accounts within a single store using Markets」から導かれる運用イメージ。

7技術者が押さえるべき 5 つのポイント

1. 単位は「Markets」

分割の単位はストアではなく Market。すでに国・通貨・価格戦略で使っている Markets に「法人」という属性が事実上追加されると考えるとよい。

eligible?

2. 利用は "eligible merchants" 限定

対象条件はリリースに明記されていない。プラン・地域・既存契約に依存する可能性が高い。先方ストアの対象可否は事前に Shopify 側へ照会が必要。

payout × N

3. payout が複数系統に分かれる

入金口座・明細・税務書類が法人別に出る前提になる。会計連携/自動仕訳の設計を Market 単位で持てるように再設計が必要。

API ?

4. Admin API / Webhook 仕様の言及なし

Order や Payout のレスポンスに「どの Payments アカウント/法人で処理されたか」をどう持つかは記載なし。自動化を組む前にサンドボックスで検証する前提に。

5. 「別ストア統合」の意思決定材料になる

同国内で複数ストアに分かれているマーチャントは、これまで「分けるしかなかった」のがアーキの理由のひとつ。この更新で統合の選択肢が増えるため、ストア統合プロジェクトの再検討トリガーになる。ただし統合は商品コード・割引・スタッフ権限・アプリ連携の再設計を伴うため、移行計画は別建てで必要。

8業務に活かせる 3 つのユースケース

EC 法人 A 店舗 法人 B 1 Shopify ストア
USE CASE 1

EC 子会社と実店舗本社が別法人 : ストア統合プロジェクト

課題
同じ国内で、EC を子会社、実店舗を本社で運営しており、Shopify ストアが 2 つに分かれている。商品マスタ・在庫・スタッフ管理が二重化し、運用負荷が高い。
打ち手
1 ストアに統合し、Markets で「EC(法人 A)」「Retail(法人 B)」を分割。各 Market に対応する Shopify Payments を設定し、売上・入金を法人別に分離。
効果
商品・在庫・スタッフ管理を一元化、二重運用を削減。法人ごとの売上計上・税務対応は維持。
技術メモ
商品コード重複・割引・スタッフ権限・アプリ連携の再設計が必要。会計連携は Market(Payments アカウント)単位で振り分ける設計に。
B2B 卸法人 D2C 小売法人 同一商品マスタ 価格 / 税は法人別
USE CASE 2

B2B(卸)と D2C を別法人で運営しているブランド

課題
卸事業を旧来法人、D2C を別法人で立ち上げており、商品マスタが完全に重複。在庫の取り合いも目視で調整している。
打ち手
Market を B2B / D2C で分割し、それぞれに対応した Shopify Payments を割り当て。Shopify B2B 機能と組み合わせて与信・価格表は B2B 側で運用。
効果
商品・在庫が単一の真実になる一方、売上は法人別に分離。卸 / D2C の取引条件混在を防げる。
技術メモ
Order の Payments 帰属を後段の ERP に渡すマッピングを Markets と紐づけて設計する必要あり。B2B カタログと D2C カタログの価格戦略は Markets の機能と組み合わせる。
店1 店2 店3 法人 X 法人 Y 法人 Z
USE CASE 3

店舗ごとに運営法人が違うチェーン/フランチャイズ型

課題
同国内の小売チェーンで、ロケーションによって運営法人が異なる(FC オーナーが店ごとに違う 等)。法人ごとに別ストアを立てており、本部の運用負荷が爆発している。
打ち手
本部 1 ストアに集約し、Market を「店舗 = 法人」単位に分割。各店舗の Shopify Payments で売上を該当法人へ計上、本部は注文管理・商品マスタ・販促を一元提供。
効果
本部の運用負荷削減、各 FC 法人の売上・税務独立性は維持。ブランド統制と現場の独立採算を両立。
技術メモ
対象が "eligible merchants" に限られるため、本部 / FC の契約形態と Shopify プランの適合性を事前確認。POS と Market の紐づけ設計、在庫の所有権(本部 or 各法人)をルール化する必要あり。

9提案で使える 1 行サマリ

「同じ国の中に複数法人を持つマーチャント向けに、1 つの Shopify ストアの中で Markets を使って複数の Shopify Payments アカウントを設定できる更新。
別ストアや拡張ストア回避策に頼らず、売上・入金・コンプラを正しい法人に紐づけたまま運用を一元化できる。
対象は eligible merchants のみで、対象可否は事前に Shopify 側へ確認。」